第163章 私の妻

有岡里穂は、この二日間に起きた出来事を手短に説明した。

聞き終えると、阿部蓮太郎は小さくうなずく。

「想定の範囲内だ」

「じゃあ……昏睡する前から、桜井瑞希に重要書類を持ち出させる段取りを組んでたの?」

有岡里穂はそこでようやく理解した。本来なら厳重に保管されるはずの書類が、どうして束になって運び込まれていたのか。

阿部蓮太郎は眉を上げただけで、説明はしない。

けれど里穂には分かった。はっと息を呑み、すぐにうなずく。

「……なるほどね」

阿部蓮太郎は彼女を見つめ、目元をやわらげると、ベッドの端を軽く叩いた。

「話したいことがある」

低く、少しかすれた声に促され、有岡里穂は...

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